奥手女子の恋愛事情

その後も先輩のこまかーい嫌がらせは

続いた。


大した嫌がらせではないだけに、

騒ぎ立てるのもおかしい気がして

何もできない。


でも気分はやっぱり良くない。


今日も先輩の言い付けのもと、

練習が終わった後の片付けをしていると

結衣が佐々木先輩と話しているのが見えた。


結衣は嬉しそうに顔を赤くして笑っている。

頷く度に綺麗な黒髪がサラサラと揺れる。


結衣って、ほんと見てるだけなら

おしとやかなお嬢さまなんだけどなぁ。



そう思って眺めていると、

結衣がこちらに向かって興奮気味で

走ってきた。


そして私を体育館の隅に引っ張る。


「聞いて聞いて!

私、今日佐々木先輩と一緒に帰ることに

なった!」


「えー!良かったね!」

さすが結衣。女子力が私とは違う。


「家が近くだし、一緒に帰りませんか?

って思い切って言ってみたらOKだって!」



まぁ結衣に誘われて嫌な男子も

いないだろう。

見た目良し、そして性格だって

ちょっとキツイけど明るいし。


「そっかー。本当に良かったね!」


「うん!だから今日は先に帰るね!!」

ばいばーい、と手を振って

結衣は部室へ走って行った。



結衣、嬉しそうだな。

一年生の頃から佐々木先輩命だったし、

もうそろそろ先輩も部活引退しちゃうから

勇気出したんだろうなー。


そんな結衣には申し訳ないけど、

早く先輩達には引退して欲しいと思う

今日この頃。。。