奥手女子の恋愛事情

あー良かった。


これ以上面倒なことが増えたら

流石に私も耐えられない。


「鎌田と何話してたの?

クラスの女子が朱美達っていうか、

鎌田のこと見てたよ。」



「あー。ノート貸してくれ、だって。

断ったけど。」



「また?

鎌田も加賀美が同じクラスなんだから、

加賀美から借りればいいのにね。」


「そうだよね!」

幼馴染なんだから、

加賀美から借りろっつーの。


それに加賀美の方が私より数学は得意だ。

というより、全教科で加賀美の方が

私より上位にいる。


加賀美ってなんでもできて、すごい。

それでいて、あんなに格好良くて優しいって

反則だ。



「そんなことより!」


結衣が興奮気味に叫んだので、

思考が中断された。


「な、なに?」


「友ちゃんから聞いたんやけど、

島田先輩、この前鎌田に告白したけど

振られたんやって!」


突然小声だ。しかも関西弁。


結衣は親の実家が大阪で、家ではいつも

関西弁らしい。



「そ、そうなんだ。」


「で、鎌田は今片思い中らしくって

先輩たちはその相手を朱美やと

思ってるねんて!」



「え・・?」


「なんか、同学年に好きな子がいるから・・

みたいなこと言ってたらしいで。」



えーー。


「で、でもそれがなんで私になるの?」

同学年に女子って山ほどいるんですけど。



「そうやんなー。

朱美ってこう言っちゃなんやけど、

色気ないし、無愛想やし、

勉強できるくらいしか

目立つところないねんから

男受けしなそうやのになー?」


グサッ。

確かにそうなんだけど・・

結衣ヒドい(涙)



落ち込んだ私を見て我に返ったのか、


「い、いや。でも私は朱美って

すごいと思うよ。

勉強だってバスケだって努力して

結果だすし。」


と慌ててフォローする。


「と、とにかく、

島田先輩は絶対に相手は朱美だって

思ってるんだってさ」


で、あの嫌がらせか。


「それって完璧な誤解だと思う。。」


普通好きな人の前ではドキドキしたり

するはず。

私といる時の鎌田からは、

そういう感じは全くしない。


はぁ。またため息が出た。