奥手女子の恋愛事情

「はぁ。。」

授業が終わり机に伏せってたら、

またため息が出た。


加賀見が気づいてるってことは、

みんな気づいてるんだろうなぁ。

なんだか気分が重い。


「お。なんか悩み事?」


能天気な声が上から聞こえて、

顔を上げると鎌田がいた。


少し長めの茶色い髪の毛が

鎌田のクリッとした目に軽くかかっている。

アイドルグループにでもいそうな

整った顔をしていて、バスケはかなり上手だ。



だからだろうか、鎌田は女子との噂が

絶えない。



今となっては面倒なことに、

私と同じクラスだ。


今もクラスの女子が

チラチラとこちらを見ている。

もちろん鎌田を見てるんだろう。


「別に。」


鎌田がそもそもの元凶だと思うと、

ついつい口調がキツくなる。



「それよりさ、今日の数学のノート

貸してくれない?」

お願い!と鎌田が拝んでくる。


中間試験も近いのに、

どうせまた授業中は寝てたんだろう。

ほんとバスケ以外はやる気がない奴だ。



「やだ。」


いつもなら貸しているところだが、

今は絶対に貸さない方がいい気がした。


「えー。中間の点数悪くて補修になったら

しばらく部活行けなくなる。

男子バスケ部も俺がいないと困るだろ?」


へへへと鎌田が嬉しそうに笑う。


鎌田は二年生なのに、

つい最近レギュラーになったばかりだ。


「・・・でもやだ。」


と押し問答していると、


「朱美!そろそろ部活行こうよー。」

結衣が私を呼びにきた。


グッドタイミング!


「今行く!

・・・もうノートは別の人に借りて」

逃げるように結衣のところへ向かった。