奥手女子の恋愛事情

部室に向かおうとすると、加賀見が

「なぁ。青井、将となんかあったの?」

と聞いてきた。


驚いて振り向くと、

加賀見が心配そうにこっちを見ていた。



「鎌田と?」


また鎌田か・・。

誰も彼も鎌田のことばっかりだ。



「何にもないよ。なんで?」


「なんか女子バスケ部の雰囲気が悪いから。

たいてい女子がそうなる時って

将がらみだろ?」


・・・。

モテ男の鎌田はこれまでにもそういうことが

あったんだろう。

気づかなかったけど。



「ふ、雰囲気悪い?そうかなぁ・・」


何とも言い難いのでごまかした。


先輩に嫌がらせされてますって

加賀美に言ったところで、

どうなる訳でもない。



「うん。見てて気分悪い。」

加賀見が嫌そうに言う。



あなたの親友の鎌田くんのことを

好きだと勘違いされてて、

多分それが原因でいじめられてます・・・


って言われても困るよね。。


黙り込む私を見て、加賀美が言った。


「言いたくないなら別に無理に

言わなくて良いんだけど・・

元気だせよ。」


また心配そうな顔をして、

加賀見は体育館に向かって行った。



加賀見はいつも優しい。誰にでも。