その日から慎司さんとのメールのやりとりが毎日続いた。でもお互い学校とか仕事があるから、毎日メールしてるといっても一日2、3回やり取りするぐらい。内容は、どうでもいいようなこと。好きな歌手が週刊誌にのったとかお腹痛いとか。でも一日数回の会話だから、返事帰ってきた頃にはお腹痛いの治ってたり....

キスをしたあの日から確実に変わったことがひとつある。それは慎司さんが“かな"と呼んでくれるようになったことだ。普段周りからは名字呼びが多い分、かなと呼ばれることに抵抗があるわたしが、こんなにすんなり受け入れるのは珍しかった。

「今日夜、空いてる?」

一緒に出かけた日から1ヶ月、突然の慎司さんからの誘いのメールだった。正直とても興奮した。会わないって決めたはずなのに、会いたい自分がいた。誘ってくれることを待っていた自分がいた。

え、何着ていこう。
一回お風呂入ろうかな。

そんなことをぐるぐる頭の中で考えながら、「空いてます」とだけ返事してお風呂の支度をした。