その頃わたしは大学生活enjoy中。
周りにはお化粧と可愛い洋服によって化けた女と、覚えたてのたばこと酒を いかにそれらしくこなせるかだけに頭使ってる男に溢れていた。それが大学なのかもしれない。でもそう言ってるわたしも19歳のくせに大人ぶってエステなんか通って綺麗を磨いてるわけなんだけども。

「かなちゃん。今度一緒に飲みいかない?」

....あ、また慎司さんだ。
27歳の男が未成年飲みに誘っていいのかよ。なんて思いながらOKするわたしは、馬鹿なのかもしれない。

最近やたらとメールをくれる慎司さんは、あの時バーで出会った強めな男性。慎司さんにとってわたしとの出会いは衝撃的だったらしく、あの日から二日に一度のペースで飲みに誘ってくれる。でも8歳も離れてるわけだし、お互い気を使わないかなって考えたりした。それが原因で、なかなか“はい"とは言えずにいた。

実年齢より上に見られがちなわたしは、同年代の男性よりも、若干年上の男性に気に入られることが多かった。それもあってか、周りにはキツイ印象を与えがち。でもほんとはゴキブリ大嫌いだし、わさび入りのお寿司は食べられないし、遊園地のメリーゴーランドが密かに好きな普通の女の子。それもひっくるめて“岡安かな"なんだと分かってくれる人なんて、友達にも元彼の中にもいなかった。わたしの女の子らしい部分を知ったとたん、ほぼ全ての人が「意外」という。勝手に普段のわたしを基準にして、見え隠れしている別の岡安かなを珍しがる。全て揃って、岡安かななのに....