岡安かな。これがわたしの名前。
基本的にはみんなから岡安って呼ばれてて、サバサバした長女気質の女の子。それなりに友達もいて、それなりに恋愛経験もして、それなりに幸せな家庭で育った。自分は恵まれてると思っていたし、何不自由ない生活を送れていたから不満なんてなかった。

中学・高校と地元の学校に行った為、大学に進むときは絶対実家を出たいと考えていた。親と離れたかったし、地元の友達の輪の中だけで生きていくのは嫌だった。でもこれといった夢も目標もなく、なんとなくで入った学校はもちろんやる気なし。でも根が真面目なタイプだから、どうしてもはっちゃけられない部分があって、お酒飲む時もエッチするときも無意識にブレーキかけちゃう癖があった。それが良いところでもあるんだけどね(笑)

「うちのオーナーがさ、岡安のこと気に入ったみたい」

そう同級生から言われた頃には、もうそのオーナーらしき人からメールが来ていた。

“かなちゃんっていうんでしょ?よろしくね"とだけ書かれたメールを読んで、わたしは返事をしないまま、ゆっくり画面を暗くした。