「どうぞ。汚いとかいうなよ」
「あ、思ったより綺麗にしてる」
「え?なに?惚れた?」
「惚れてません」

「時間も時間だし、ビール飲む」
「わたしビール大好きなの!!」
「知ってる。惚れた?」
「惚れてません」

しつこい、馬鹿(笑)

悠介くんが、慎司さんのことを思い出す時間を与えないでくれることで、わたしは久しぶりに寂しさを感じない夜を過ごした。得意ではないゲームをしながら遊んだり、夜中の1時にいきなりエクササイズに熱中したり....もう訳わかんないけどそれが楽しくて、悠介くんに感謝の思いさえ込み上げてきた。
お酒も入っていたことで二人共顔がとろけてしまっていて、そろそろ寝ようかという雰囲気になった。終電もないし、タクシーで帰るには遠いし、悠介くんが良いといってくれるので泊まることにした。いきなり決めたことだったので、下着なんて腰のところがほつれたパンツ履いてるし、メイク落としも持ってきてない。でもすごく眠たかったから、悠介くんが促してくれるままベットに倒れ込んだ。悠介くんは最初、気を使ってソファに寝てくれていた。でもトイレで目が覚めると、私の体を抑える悠介くんの大きな体が 薄暗い部屋の中ではっきり見えた。「....だよね」と、気安く泊まってしまったことを後悔した。男性の部屋に泊まることは、そういうこと。そんなこと分かってたはずなのに、悠介くん家だから だなんて軽く考えてた。もう今更拒否なんかできない。

前までのわたしだったら、歩いてでも帰ったはず。彼氏でもない人とエッチするなんて考えられない....なんて堅い頭を持っていたはず。なのに今は「仕方ない」で片付けてしまうことが多くなった。こっとこれは慎司さんのせい。いや、慎司さんのことを好きになってしまったわたしのせいか。