正月が過ぎ、俺は実家から自宅に帰ってきた。



がそこには看板が立っていた。



「この公衆電話はあまり使われていない尚且(なおかつ)ここに家を建てることになりましたので後日撤去いたします。ご了承下さい。」



は…なんだよこれ!



俺と江奈ちゃんが使ってるだろうが!ってか後日っていつだよ。



何だかんだで友達がほぼいないぐらいの俺にとっては楽しかったんだ。



そりゃあうるさいけど…でも電話男と出会って俺の人生は変わったんだ。



なのに急すぎるだろ…



俺はすぐに電話男に電話した。



いつもなら挨拶してくれるはずなのに。
電話男の声はしなかった。


「俺だよ!聞こえてるんだろ?もしもしー。」



いくら声をかけても反応はなかった。繋がってはいるのに。



結局電話男が出ないまま受話器を置いた。



何で…何でなんだ。



もし明日だったら…



明日から仕事なのに…



今日できることをしよう。まずは江奈ちゃんにこのことを伝えないと。



忙しい時期だけど出てくれるかな…



電話男さえ出てくれないとなると不安になる。



だがその心配はいらなかった。



「都央留くん明けましておめでとうございます。」



そういやまだ新年の挨拶がまだだったか。



年賀状は送ったが言葉にしてはいなくて。



「江奈ちゃん明けましておめでとう。急なんだけど…実はあの公衆電話が撤去されそうなんだ。」



俺は看板のこと、そして電話男が出ないことを話した。