「私…間違ってた。世界一の姉に戻るにはもう少し時間がいるだろうから待ってて。」



「分かった。待ってる。」



俺はふと思った。



そういや姉も足のサイズ23.5だったような…



「はい…これ。クリスマスプレゼント。」



「えっ…いいの?これわざわざ。」



白いリボンのついたパンプス。何だか姉の方があってる気がして。



「ありがとう。彼女のとこ…いってあげなよ。」



「うん…。」



もしかしたら江奈ちゃんはもういないかもしれない。


最高のクリスマスプレゼントを用意したのに。



俺が靴を姉にあげたのは、選択肢をひとつに絞るためでもあった。



姉も変わるんだ。俺も変わらないと…



まだ本当のところ心の準備はできてない。



急いでレストランの中に入った。



江奈ちゃん…江奈ちゃんはどこに…



やっぱりいなくなってしまったのか?



「遅いよ!こっちこっち♪」


なんで…怒らないんだ?



不安にならなかったのか?


「ちゃんと整理できた?涙の跡すごいよ。」



「怒らないの?」



「確かにとられたらって思ったけど、都央留くんが私のこと思ってくれてるのは分かってたから大丈夫って思ったの。」



「江奈ちゃんー!!」



「はいはい泣かないの。おもいっきり食べよ!」



「そうだね。」



彼女がパスタをほうばるのを見るだけで十分だった。