そして気付く。



まだ受話器を置いていないということに。



それはつまり…



「ドラマチックでしたねー。陽崎さんに迫られた気持ちはどうでしたか?」



そういうことだった。



「そっそれは…」



「言葉にできない…ですか?」



「くっ…!」



このやろ…言いたい放題言いやがって…確かに図星ではあるが。



ならば反撃するのみ!



「どうせお前がまた裏で何かしたんだろ。」



「今回はしてませんよ。」



「嘘つくのもいい加減にしろよ。」



「嘘ですか?私みたいな正直者には縁のない言葉だとばかり思ってました。」



どの口が言うか!



「ですが今回ばかりは本当です。」



「じゃあいつもは嘘ついてるってことだよな?」



「……都央留くんもなかなかやりますね。で、結局プレゼントはどうするおつもりで?」



そうだ…すっかり忘れてた。そのためにこいつに電話してたところだったんだ。


「都央留くん、プレゼントは形だけじゃないんですよ。行動でも示せるんですよ。」



「それはどういう…」



「接吻ですが何か。」



キス!?俺がか?俺からしろって?誘うことすらできなかったんだぞ。無理無理無理!!



「いいじゃないですか。最高のクリスマスプレゼントですよ。」



「考えておく…」



「それは光栄なことです♪」


電話男といい、江奈ちゃんといい振り回すのが得意…いや、好きでやってる感があるんだよな…



いつ俺は恋愛不器用から卒業できるんだろうか。



そんなことを考えながら無言で受話器を置いた。