「なっ…何だよ。」



そのまま受話器を置けば良かったのに一瞬でも隙を見せた俺が馬鹿だった。



「せっかく愛しの陽崎さんの秘密教えてあげようと思ったのに。」



「秘密…?」



「私のエスコート術を教え終わってから秘密を教えてさしあげましょう。」



「仕方ないな…」



「何なんですか。メインはエスコート術の方ですよ!」



それからエスコート術を右から左へと受け流して、ようやく俺にとっての待ちわびたメインがやって来た。


「…んで秘密って何だよ。」


「約束は約束ですからね。いいでしょう。でも後悔しませんか?」



後悔だと?そんなに重たい話だと言うのか?



このために電話男の話を聞くのを我慢したんだ。
今さら引き下がる訳には行かない。



「いいから聞かせろ。」



「まもなくクリスマスの誘いをあの方からされますよ。」



「はぁ?煽るのもいい加減に………」



………これは幻覚か?夢か?そうなんだろ。



「電話男…どういうことだ。」



「はい後悔したー!結局また都央留くんは先手を取られたようで。」



そうそこにいたのは



江奈ちゃんだった。



「じゃあ頑張ってくださいね♪」



目が会った瞬間



俺の思考回路が停止した。