「しらばっくれるつもりか。」



「自分のために犯す罪と誰かのための罪は全然違うと思ってる。同じ罪だと言う人もいるかもな。」



俺も電話男が後者を言わなかったら、今たぶん突っ込んでた。



そう言われると違うのかなとも思い始める。



「命をかけて働けば必ず結果は出る。」



「この不況でも?」



「そういう人はだいたい命をかけて働いてない人なんじゃないか。」



たしかに俺は命までかけて働く必要はないと思ってる。だからといって他にそこまでできることがあるのかと言われると…



言いたいこと言って帰るはずが、結局電話男の餌食となってしまった。



「じゃあ、切るぞ。」



「おい待て。まだはな…」



「ガチャッ」



はぁ…



俺って何のために生きてるんだろう。いやそもそも生きてるんだろうか。



お金、命、罪の重さがたった1日でこんなに変わるなんて思っても見なかった。


…帰ろう。



家に帰って何もせずただ横になり、長い1日が終了した。



そして朝。目覚めはいいが、まだ昨日起きたことが、脳裏から離れない。



…当たり前か。



今日も休みを貰った。あの人のところに行くために…