それから二人は参道を抜け、一の宮の拝殿の前に並んだ。

カラカラと鈴が鳴る。

二礼、二拍、一礼をする。

賽銭が箱の中をチャリンと転がる音がした。

拝殿の階段を降りた時に坂井先生が咲子にたずねた。

「何をお願いしたの?」

「うふふ。秘密です」

咲子が願ったのはもちろん「これからもずっと先生と一緒にいられますように」ということだ。

「僕のは秘密にするほどのお願いじゃないな。とりあえず今夜のご招待が楽しいものになりますようにって祈ったよ」

それを聞いた咲子はちょっとほっこりした気持ちになった。

でも、先生も自分の同じことを祈ってくれたらいいのにとも思った。