ここ数日、坂井先生からの連絡はない。冬は流感にかかる人が多いから、病院も忙しくなる。咲子にはそれがわかっている。彼の仕事のこととか家族のことで文句を言って、彼を困らせるようなことはしたくない。
同棲する計画はいったん白紙になって、それ以来その話が再び持ち上がることはなかった。
左肩に通勤バックをかけ、右手にケーキの箱を携え、駅の改札から出る。
駅前の商店街は年末特有の活気があった。洋菓子店の前では、若い売り子がクリスマスケーキの最後の売り込みに励んでいる。
コンビニに寄って、ちょっと食料を買い足した。レジの前でバッグを開けると、スマホが着信があったことを知らせている。
坂井先生からだ。しかも、彼からは何件も着信履歴が残っている。


