坂井先生はベッドの上で放心していた。

「あの……どうしました?」

咲子は胸元をタオルケットで隠しながら、傍らにいる先生におずおずと声を掛ける。

「君は本当に僕でいいのかい。その、僕が初めての相手になるんだよ」

薄明りの中、先生のさっぱりとした顔が見える。眼鏡を外した先生はいつもよりハンサムに見える。

「はい。そのつもりがあるからここに残りました」

「そうかい。僕は処女の女の子を相手にするのは初めてだよ。しかもこの歳でそうなるなんて」

「気が引けますか」

咲子がたずねる。

「そうだね。気が引けるような気もするし、うれしいような気もする」

「私がそうだってこと、意外でしたか」

「うん。君は27歳でそれなりに人生経験も積んできた人みたいだからね」

先生は正直にうなずいた。

水着のB級アイドルだった女がバージンだなんて確かに意外なことだろう。

彼は再び咲子を組み伏せると、彼女に言った。

「じゃあ、いいんだね」