夜が更けていく。

先生が先にシャワーを浴びにバスルームに入っていった。

その間、咲子はテレビを見ながら自分の番を待っている。先生が浴室から出てくるまでの時間が異様に長く感じられた。

しばらくした後、バスローブを羽織った先生が浴室から出てきた。少し濡れた髪が色っぽい。彼は微笑みながら、咲子の分のタオルとバスローブを用意したことを告げる。

咲子は礼を言った。

彼と入れ替わりに彼女はバスルームに入った。

脱衣所も浴室もきれいに掃除されていた。洗面台に髭剃りが置いてあることで、ここが男の家であることを実感する。浴室には、今しがた彼が使ったシトラスのボディーソープの残り香がする。好きな匂いだ。

咲子は風呂から上がった。

髪を乾かし、バスローブを羽織って脱衣所を出る。

次に向かうのはリビング? それとも寝室?

咲子は緊張していたけれど、この夜に向けて心の準備をしていたからそんなに怖くはなかった。

リビングに戻ると、先生がよく冷えたペリエを用意してくれた。彼がグラスを手渡す。

「あ、ありがとうございます」

渇いたのどに微炭酸の液体が流れ込む。

「おいしい?」

先生が甘い声でたずねる。すっかり酔いがさめたようだ。

「はい」

彼は咲子の頬に手を置くと、彼女の唇に自分のそれを当てた。柔らかい口唇の間から、ペリエの風味が伝わってくる。

彼はその体勢のまま、その手を左胸の上に下ろした。タオル地の上から、彼女の胸を愛撫する。

咲子の声が思わず漏れる。

「向こうに行こう」

そう言って彼は彼女を寝室へ連れていった。