「勢いかもしれない。あの場では
言うしか方法は無かったかもしれない。
それでも、冴島さんは伝えたんだろ?
ちゃんと泉に言ったじゃん。


勢いでも想いを伝えられた人は
絶対に嫌な気持ちにはならない。
むしろ、嬉しいよ…」




堤くんは暗くなった窓の外を真っ直ぐ見つめながら
あたしにそう言ってくれた。



「………うん…」



「あ、そうだ。もうすぐ…花火あがるぞ?
泉と見なくていいのか?」



「あ!」



あたしはバッと立ち上がって
入り口から出ようとした時。




「……あいつ!屋上…!」



堤くんはあたしにニコッと微笑みながら
そう教えてくれた。



あたしは堤くんに笑いかけて
「ありがとう」と伝えた。




そして、空き教室を後にした。