簡単なことだったんだ。


どちらかが早く、
思っていることを言えれば良かった。



言っていればこんなお互いに悩むことなんて
無かったはずなのに。




大切すぎて、大切だから
今、やらなきゃいけないことが見えなかった……




ただそれだけだったんだ。



あたしたちはバカだったんだ……



「千里…ごめんね?あたしこそ…」


「いや。ごめん…」


「……っ」


千里の抱きしめる腕が強くなる。


そして、ふわっと体が離れる。



「望未……っ」



そうあたしの名前を呼ばれた時には
口を塞がれてしまっていた。