堤くん、あそこで働いてたんだ… 家から結構近いのに知らなかった…… あたしはそんなことを考えながら 家へと帰った。 「ただいま…」 「おかえり」 冷蔵庫からミネラルウォーターを出していた 千里がそれだけ言って部屋に戻った。 やっぱり少し怒っちゃったのかな…… でも、“甘いキス”なんて あたしに出来っこないよ…… 一番近くにいる千里だから…… 余計に恥ずかしくて… 素直になんてなれっこないよ……