さっきまでの恐怖感がウソみたいに 消えていた。 堤くんの大きな手があたしの肩を抱いている。 千里の時よりもドキドキはしないけど、 暖かくて、本当に、 あたしのことを想ってくれているんだと 思う事が出来た。 それくらい、優しくあたしを抱きしめた。 「…じゃ」 と、しばらく経ってから静かに教室を出て行った。 堤くんの想いには応えてあげられないけど、 その気持ちは凄く、すごく、 ―――嬉しかったよ……