あやし、あやかし



   *   *   *   


「全く、何なんですか宗形さん!いきなり連れていかれたかと思ったら、あんな子供の所だなんて!」


「落ち着けよ石原。ちゃんと説明してやるから」


「当たり前です!!」


車の助手席でぷんぷん怒っている石原に、宥めるように話しかける宗形。その顔には疲労の色が窺えた。


運転席でハンドルを握り、宗形はアクセルを踏む。宗形は一度だけ、ちらと石原を見ると口を開き始めた。


「あいつは陽希っつってな、妖怪とか化けモンとか見える奴だ」


「………ふざけてます?」


「いいから聞け。陽希はその能力を利用して、探偵の仕事をしてんだ」


「……はぁ」


石原の目が、思いきり冷めきった物に変わる。だが、宗形はそれを気にしないことにする。



「……あいつの、左腕。見たか?」



「……左腕?」



先ほどの、和服姿の少年の姿を思い返す。が、石原の場所からでは、左腕は上手い具合に隠されていて。



「………見て、ません」



静かに、宗形の横顔を見つめる。宗形は、前から視線を逸らすことはなく。しかも、自分は怪我をしていないにも関わらず、とても痛そうな顔をしていた。



「………あいつの左腕は、妖怪の呪いで動かねぇんだ」



「……ぇ、」



度胆をぬかれたような声を出した石原。



宗形は車を走らせたまま、話し続ける。