宗形が喉の奥でくっくっと笑い、陽希も少しばかり微笑む。そんな2人に付いていけていないのが、1人いた。


陽希は、宗形に対して口を開く。


「宗形さん、こちらの方は?」


「あぁ、こいつは俺の部下だ。名前は…」


そこまで宗形が言うと、彼の隣に座っている宗形の部下は頭を下げた。


「石原 妃那(イシハラ ヒナ)といいます。宗形警部の部下です」


「………石原、警部は止めろって」


「では、宗形班長で」


「……………宗形さん、にはならねぇのか?」


「なりません」


きっぱりと言い切る妃那。肩を落とす宗形。


何を隠そう、この2人は警視庁に勤める刑事なのだ。しかも、宗形は凄腕らしく、人望がとんでもなくあつい。


では、なぜそんな2人が、今どき珍しい和風の広すぎる家に住む、怪し過ぎる若干17歳の元を訪れたのか。


そこには、陽希の家業が関係している。


宗形は、す、と机の上に、一枚の写真を裏返して置いた。


それを見ろ、と言わんばかりに顎をしゃくる宗形を見て、心底嫌そうな顔をしながら写真を見る。