思わず額を抑えた家の主を、雑鬼達は面白そうに眺める。


「……お前らなぁ…」


げんなりと呟いた家の主は、重たい溜め息を吐いた。


すると、三つ尾の犬もどきがふらふらと足元までやってきて、ちょこんとお座りの姿勢をとった。


『別に良かろう?誰にも迷惑はかけておらぬ』


首を傾げて見上げてきた犬もどきに同調してか、雑鬼達はそーだそーだその通り別に迷惑かけてねーぞ、と口々に言い募る。


もう一度溜め息を吐いた家の主に、犬もどきはからからという笑いを向ける。


『どうした陽希。いつもの事と諦めんか』


「………頼むから、俺の事も慮ってくれ…」


『陽希にかけるのは迷惑ではない、と我らは心得ておるゆえ』


「………もう、いい」



家主が机に向かうと、雑鬼達はわらわらと家主が座る場所を空けた。


朝方とは言い難い顔で座り込んだ家主に、雑鬼達は朝メシは食うんだぞ食った方が良いんだぞ食える時には食っとけよ、と口々に声を上げる。