ー Black ー


2人の男の人が中に入ってきた。



いかにも人事担当という融通のきかなそうなメガネのおじさん。

一目みてすぐにわかった。


『電話の山田さんだな』


と、なぜか私服姿の派手めな若い男。



おじさんの横に深く腰掛け、
めんどくさそーにしている。



部下か何かかな?

新人?

面接の研修中?

こんな格好で許されるの!?




なんかどこかで見たことあるような気がした…



『気のせいかな…?』



それにしても・・・


〝態度でかっっっ!〟


それが彼の第一印象。



おじさんからたくさんの質問を投げかけられ、愛想笑いでごまかし、
最後に若い男が口を開いた。



「夏川さんはポジティブですか?」




「え?あ、ポジティブ?・・・だと思いますけど・・・」


「どうゆうところがポジティブですか?」


「え?え、えーと、男の人にフラれても、次の日には立ち直りますっ!!!」



自分でも、何言ってんだーーと思いながらも手遅れで、目の前の2人は苦笑い。(笑)



面接は終了し、おじさんが出口まで案内してくれた。


前を歩くおじさんの手からメモのようなものがスルリと落ちた。


気づいてないのかな?


私はそれを拾っておじさんに声をかけた。


「落としましたよ!」


おじさんはわざとらしく
「えっ?あっ!ありがとうございます」
と受け取った。


トラップか。


なんか、わけのわからない会社だなー
と思いながらその会社を後にした。





これが、私と社長の出会いだった。