「あの、やっぱり、そこは全力で遠慮させて頂く方向でお願いします」
きっちりと、頭を下げて訴えると、頭上から「ハハハ……」と言う軽快な笑い声が聞こえた。
……って、ここ、笑う所じゃないよね?
むしろ、「笑えない所」だよね!?
頭を上げてジトッと春斗さんを見ると、春斗さんは笑いながら私の頭をポンポンと軽く叩くように撫でた。
……すみません。必要以上の身体接触と慣れ慣れしさは出来れば避けて下さい。
私達、ほぼ初対面な上に、偶然、喫茶店で傍に座っていただけの関係ですから!!
「わかった、わかった。じゃあ、「気を惹きたい8割」ってのは冗談って事にしておくから」
ニッと笑って、「これで文句はないだろう?」とでもいうような雰囲気で軽く首を傾げた春斗さん。
そんな彼に、私は思わず心の中で「問題大有りだろ!!」と全力でツッコミを入れてしまった。
まず、「○○って事にしておくから」って、表面上そうしておくだけで、実質は変わってないって事ですよね!?
しかも、その話の内容だと、「全て春斗さんにつける」っていう事の理由は変わっても、状況自体は変わっていないし。
それって、要するに、一見、私の要求を考慮したように見せ掛けて、何1つ受け入れられてないっていう……
ダメじゃん。
