「………え?」
「課題はまだまだありますからね。」
さっきの甘い雰囲気はどこへやら、すっかり執事モードに戻ってしまった碧にポカンとする。
「碧……だって、もう夜も遅いし。」
「明日は休日ですから、問題ありません。」
キリッとする碧。
駄目だ……完全に通常運転。
びっくりして涙も引っ込んでしまった。
「碧の鬼ー、鬼畜ー、馬鹿ー!」
「なんとでも仰って下さい。」
さっきのは幻だったのか……そんな錯覚まで覚えてしまう。
ペンを持って、分厚い参考書を再び見つめていると。
……ちゅ
ふいに頬に触れた唇。
「僕は関係が変わっても簡単には甘やかしたりはしませんから、覚悟して下さいね。」
碧は不敵な笑みを浮かべた。
その言葉はどこか柔らかい口調で、私はにやけそうになる顔を必死に保った。
どうやら、氷の執事さまは愛するお嬢様に
ほんの少しずつ心を溶かされているようです。
end♪

