氷の執事をsweetlyに溶かして






「はあ、……もう心臓が保たない」


「ふふっ」


「碧、厳しいし冷たいから私のことなんて好きじゃないと思っていたのに」



そう。

ずっと好きなのは私だけだと思ったのに。




「それは……僕は執事、貴女はお嬢様。立場上この恋は御法度ですから、そう思って気持ちを仕舞い込んでいましたのに」


そう言って碧は、目を私から逸らす。


「貴女に、こじ開けられてしまいました。」


ちょっと照れている碧、可愛い。


気がつくと、もう日付は変わっていた。


バレンタインデーの魔法が溶けてしまった代わりに、溶けた碧の心。


嬉しくて涙が溢れそう。





「碧……」


「さーて、お勉強を再開しましょうか。」