「ちょっと、待ってて」 私は、立ち上がって学校指定の皮のスクールバッグを漁った。 そのカバンは名門私立高校のものだ。 「………」 私の様子を不思議そうに見る碧。 私は、お目当ての物を見つけると素早く取り出して自分の後ろ手で隠す。 碧に、見られないように。 そして、先ほど座っていた場所まで戻ると隠していたものを碧に見せた。 「はいっ、碧にあげる。」 「……これは、何ですか?」 綺麗にラッピングをした小さい箱に赤いリボンを巻かれたそれは、 「碧に、初めてのチョコです。」