そうして、また、いつもの様に少年が虐められていると、
とある少女が近づいてきました。

『やめなよ、虐めなんて、格好悪い』

少女は、村の男の子の憧れでした、
可愛くて、優しくて、少年も密かに恋をしていました。

『大丈夫?』

差し伸べられた手を、少年は振り払いました。

“君も、僕を気持ち悪いと思っているんだろう?”

卑屈な少年に、少女は言いました。

『どうして?
どうして気持ち悪いの?』

“僕は人とは違うから、おおかみだから”

『人と違う事は恥ずかしい事なんかじゃない。
寧ろ誇るべき事だよ、誰にも真似は出来ないなんて、とても格好良いじゃない』

少女の言葉に、少年は涙が止まりませんでした。

“僕を、受け入れてくれるの…?”

泣き止まない少年を、少女はずっと抱きしめていました。
まるで、少年の全てを受け入れるように、優しく抱きしめ、頭を撫でました。
何時までも、何時までも。