あたし、工藤 梨子[くどう りこ]。



2週間ほど前、この高校に転入してきた。



転入生っていう肩書きがだんだん薄れてきた今日この頃。



ずっと忘れないからね!

そう泣きながら言ってきた友達を思い出していた。

「工藤!」

呼ばれた声に振り返る。

が、呼んだ主はいない。



「裕貴...」


私の初恋の相手で私の初めての彼氏。



じわっと私の目に涙が浮かぶ。



はあ...。もう忘れよう。



短くため息をつき、教室の窓から見える校庭を眺めていた。