バスが東行庵に着いた。
いるかなぁ、柳沢さん。
庵の向こうが史料館になってて、柳沢さんは、そこにいらっしゃるはずなんだけど。

ここ、ここ。

「柳沢さんっ」

まず、新谷さんが入口から呼んでみる。

…。

やっぱり、いないのかなぁ。

カチャ。

廊下の向こうの戸がゆっくり開きかける。
あっ!柳沢さんだっ!

「おおおおおおお〜っ!」

柳沢さんは奇妙な雄叫びをあげながら、こっちに出てきた。