「里乃ぉ」

「何ぃ?」

「この山越えたら、何処に着くの?」

「知らな〜い」

「ひょっとして私たち、迷子になるんじゃない?」

「かもね」

「里乃ぉ、もしかして、全然頭回ってないでしょ?」

「回るわけないじゃん。もう、思考回路なんてとっくに止まってる。回ってるのは、足だけ…」

息も切れ切れににそう言った里乃の足がパタッと止まって、里乃の顔が一瞬引き締まった。