おくすりのじかん

チャポン・・・・


この部屋で湯船に入るのは初めてだった。


さすがに油臭いから毎日シャワーには入っているけど


「三十分は絶対あがっちゃダメだよ」


「え?そんな何するの……」


「体や顔を丁寧に洗って ゆっくり湯船につかったら
三十分あったって足りないくらいだよ」


女のくせに……
ちゃんと洗ってない不潔みたいだけど……


「シャンプーとかさボディソープとかも
あんまりいいもの使ってないね~
そこも大事だからさ
見た目も磨かないとダメだよ祥子さん」


「私なんて 磨いたとこで……
こんなブサイクなのに……無駄無駄~~~」


「そういう事いうのがダメなんだって・・・・
祥子さんの治療の第一は自分を好きになることだよ」


「好きになんかなれないよ!!
こんなつまんない顔してスタイルだって悪いし
この顔や体で生まれてきて楽しいとか
幸せだとか思ったことなんか一回もないし
生まれてこなかったらよかったって
何百回も思った」


心の中をさらけだしたような気がした。


凜太郎はまくしたてる私を静かに見ている。