部屋の一角が空いていたけど
あまり気に留めてもいなかった。


「合鍵ちょうだい」


「え?」


「祥子さんが仕事行ったりしたら
入れないじゃん」


「いや 入るとかじゃなくて・・・・・」


大きいけど 形のいい長い指を開いて
凜太郎が手を出した。



「はい ちょうだい」


なぜかその言葉に自然と従ってしまう自分が謎・・・・・


合鍵を凜太郎の手の平の上に置いた。


鍵をポケットにしまって 凜太郎が笑顔を見せる。


きっら~~ん!!!



その笑顔に秒殺される私


「言っておくけど ウチには金目のもの
全くないからね」

「あはは
見ればわかるし~」



まずいまずい
相手はどこの誰かもわからないのに
こんな無防備なことしてもいいのかな


浴室からピピピと音が鳴った。



「風呂 風呂~」


え?
ウチでお風呂まで入ってく?
お湯まで貯めて・・・・・・・・・

「汗かいたじゃん 家主さん ゆっくりお風呂に
入っておいでよ」



入っておいでって・・・・・・・