カギの音がしたのは 眠れない夜の何十回目かの寝返り中


静かな足音
鍵を置く音
手を洗って うがいして いつもの凜太郎


冷蔵庫を開けて 牛乳を飲む。


美味しそうに喉を鳴らして

私は凜太郎の息遣いにまで 神経を集中させて
だんだん息苦しくなってきた。


はぁ・・・はぁ・・・・
何か苦しいんですけど


ハァハァハァ……息がどんどん早くなってきた。
ヤバイヤバイ……起きてんのばれちゃう……
待ってたみたいで 何か恥ずかしい


思えば 思うほど苦しくなって……


「祥子さん?」

私の鼻息の荒さに気づいた凜太郎が近づいてきた。


「プッハ~~~」おもわず漏れたでっかい息


「大丈夫?」
笑いをこらえていつもの凜太郎がいた。


「なんか昔かくれんぼしてた時
声を殺してかくれてた布団の中みたいで苦しかった」


降参・・・・・・


凜太郎と向き合った。



「おかえり~」


「うん」


いつもの凜太郎が私の前で笑顔を見せた。