ちっぽけな奇跡のはなし




巴菜が歩いていると、前にカレがいた。



「見覚え、ありましたか?」



カレは首を横に振った。


「そっか。
わたしが考えた人はみんな
違っちゃいましたね。また戻ってから考えましょう!」


「巴菜」


「気を取り直して行きましょう!
絶対見つけてみせますから!」


「巴菜!」



カレは初めてわたしの名前を呼んだ。


そして、わたしをぎゅっと抱きしめた。