ちっぽけな奇跡のはなし




「わたしは愛していた、と思います」


カレは何か言いたげに巴菜のほうを見た。



「なぜわたしが、
あなたを置いて行方をくらましたのか
なんて分かりません。


でも、わたしはあなたを
愛していた自信があります。

そして、あなたに
愛されていた自信もあります」


カレはわたしをゆっくりと見つめる。