ちっぽけな奇跡のはなし




「僕にとっては、

過去でもキミにとっては未来のことだもんね」


カレは遠い目をして呟いた。


「キミにはいないんだよね」

カレと目があった。

「忘れられない人」

「いないよ」

そう答えたものの、何かが胸につっかかる。


「なら、もう十分だ」

カレはにっこり笑って、巴菜を見た。