ちっぽけな奇跡のはなし






「あ、ごめん!
キミのことを知ってるんだ」


「わたしはアナタを知りません」


巴菜が眉間にシワを寄せて、言うと
男性がまた笑った。


「その表情も変わらないんだね」


「ほんとうにどこかでお会いしたことありますか?
あったなら、ごめんなさい。
覚えてないんです」