<竜side>





母さんと喧嘩して、魔法で猫に変えられた俺は、家を飛び出した。




空は、夕方って感じの綺麗な赤とオレンジが交ざったような色。





学校の近くの道路まで来たとき、見たことあるヤツが来た。



アイツはたしか・・・・・・



背が低めで、くせっ毛のツインテイルが印象的な、目がくりっとしてて、さりげなくモテてるっつー・・・



「ミャアオ・・・。」(佐々木萌花・・・。)



やべっ!!



つい、しゃべっちまった!!



うわ、こっち来やがった。




「あれ・・・黒猫ちゃん?」




そういって、佐々木は俺を抱き上げた。



「ニャアッ!」(やめろっ!)


チッ、やっぱ猫の鳴き声になっちまう。



あ゙~まじ最悪・・・。



これから俺、どうなるんだよ・・・。



その時、佐々木が言った。



「かわいそうに・・・。ケガしてる。・・・そうだ!!この子、家で飼おう!」


はぁ~っ!?



コイツ、何言ってんだ!?



・・・でも、それ以外に俺が猫のまま生きられる方法は思い付かない。



しょうがねぇな・・・。



「ニャア、ニャアウ。」(飼われてやってもいいぜ。)


すると佐々木は、俺の言葉が分かったみたいに



「ふふ、これからよろしくね。」



そう言って、俺を抱き締めた。


いくら今はねこでも・・・抱き締められるのは・・・な。



「そうだ!この子を飼うんだったら、名前付けなきゃね!!」



「そうだなぁ・・・。あなたの名前は・・・。」



そう言いながら佐々木は俺を見た。




「そうだ!あなた、すっごく黒いから、『クロ』!!」



『クロ』・・・か。



「ニャ、ミャア。」(ま、良いだろう。)



こうして、俺の猫としての生活が始まった。