また逢える?
あの桜の木の下で?
彼が浮かべた寂しそうな瞳が、
表情が気になって脳裏から離れない。
プラチナの髪。
朱金の瞳。
プラチナの髪は風にたなびいて、
とてもサラサラしていた。
朱金の瞳は視線を合わすと、
その中に吸い込まれそうだった。
だけどその瞳は寂しそうで。
私の瞳にはすぐにでも
消えてしまいそうなほどに
脆く見えた。
……もう一度逢いたい……。
逢ってそのわけを知りたい。
考えるのは、
初めて出逢ったばかりの
鬼の少年のことだけ。
彼が知りたい。
彼がどうして桜の木から、
物憂げに悲しそうに見つめているのか。
逢わなきゃ。
ちゃんと心で信じて、
運命は自分で切り開かなきゃ。
バスタオルで髪の毛を
ワシャワシャとタオルドライした後、
ドライヤーを手に取って
温風で髪を乾かしながら、
手元のリモコンでTVをつける。
自室にあるTVも普段、
なかなかつける時間がない。
そんなめったに使われないTVが
映し出すのは、歌番組。
歌番組じゃん。
今日木曜だったんだ。