桜の木の下で-約束編ー




『コロシテ……』




ボクが抱く腕の中、
咲は小さく呟いた。


何度も涙を流しながら繰り返される言葉に、
ボクの体力も精神力も吸い取られていくみたいで、
重怠くなっていく体を支える術もなく、
咲の言葉だけと向き合っていた。




咲、キミもボクに
その罪を負わせるの?






決して自身で許すことが出来ない
大きな罪を。






……そう……。








それが君の望みなんだね。





それが咲の望みなら、
ボクはそれを受け止めるよ。






ボクの心と引き換えに、
君を救えるのなら……。






遠い昔、和鬼がそれを選んで
ボクに求めたように。





ボクの心が闇に砕けるのと引き換えに
咲を守ることが出来るなら、
ボクの疎まれ、嫌われ続けたこの力も
意味があるのかもしれないね。


最後の最後でボクも誰かの役に立つことが出来るって
思っていいんだね。




……咲……。






それが君がくれた、ボクの最後の存在意義なら、
ボクはこの心と引き換えに君を守るよ。





ボクが闇に砕けた後も、
ボクのことで苦しまないように
全ての記憶を閉ざして。







桜鬼である最後の務めを君の為に。






それが君の……ボクが愛した
最愛の女性【ひと】の望みだから。