「咲、アナタはいらない子。
 誰からも必要とされない子。

 
 あの世界でもアナタは必要とされない。

 だからお父さんにも、
 お母さんにも見捨てられた。

 アナタのお母さんは、アナタを忘れて
 新しい家族と幸せに過ごしていたでしょ?

 アナタの居場所なんて、
 あの世界の何処にもないの。

 そしてこの世界にも、
 アナタの居場所はない。

 この世界で必要なのは、咲鬼姫であって
 アナタじゃないもの。

 アナタなんて、何処に居ても
 存在価値がないの。

 最初から誰にも必要とされない
 可愛そうな子」







何度も何度も心の奥底に刻み込むように
黒い渦の中で、呟かれ続ける言葉。






私はいらない子。








そう。


だからお父さんは、
私とお母さんを捨てて出て行った。






私はいらない子。





必要ない存在だから、
お母さんは私を置いて
大好きな人のところに出て行った。





私は連れて行ってくれなかった。






私はいらない子。






要らないから、
もうお母さんの心の中にも
私は残っていない。









私はイラナイ子。




この世界が求めるのは、
私じゃないもの。









私の居場所なんて……どの世界にもないんだ。