そうか……。





ボクは今も想いつづけてるんだ。



和鬼としては咲姫を。
桜鬼としては咲を。







行かなくちゃ。




桜鬼としてボクは咲を守りに行きたい。





例え、その代償に
ボクの黒いものが再び
暴れだすとしても。




王族の務めを放棄して和鬼を葬った、
桜鬼としてのボク自身が
和鬼に焦がれ続けた、隠恋慕。









もういいよ









声にならない言葉で、
ゆっくりと答えた。












「桜鬼、何を企んでる?」





口の動きを見ていた神威と呼ばれている少年は、
キっと睨みつけてボクを言葉で絡めとった。




「桜鬼として。

 ボクの地を守るものとして、
 成すべきことを」


「アナタは?」




神威との会話をしていたボクたちの間を割り込むように
言葉を紡いできたのは、今の咲の母親。

ボクを浄化する蒼龍の力をボクの姿を視せてる?


窓が突然、蒼龍の力で割れて
家の中がめちゃくちゃになってる。


そんな無残になった家に戸惑いながら
お風呂から慌てて姿を見せた、
咲の母親の今の家族。



対峙するボクと、咲の母親を見守る
神威に飛翔と呼ばれていた青年。




背後では、柊と呼ばれていた女性が
蒼龍によって崩された世界をその力によって修復しようと
意識を集中していた。


少しずつ正常の状態へと時間が戻っていく建物。


ボクの来訪に寄って、
無残に壊れた咲の母親のテリトリーが修復されていくのを見届けて、
ボクは咲の母親をまっすぐに見据えて言葉を続けた。



「ボクの名は、桜鬼神(おうきしん)。
 咲はボクが守ります」
 



何時になく力強く言い放つことが出来た言葉。