桜の木の下で-約束編ー



風鬼と紅葉に対峙して、
逃げるように狭間の世界へ戻ったボク。


その後も何度も、
風鬼と紅葉の存在と真実を追い求める。



友の名を語る存在。

真実を暴き、裁くのが
桜鬼としてのボクの役割。



今回の一件で気になるのは、
風鬼の傍に居て付き従う紅葉と言う名の少女。




*



「紅葉は
 ……待ってるの……。

 あの人を……。

 あの人が私だけの人に
 なってくれるのを」



*


紅葉と呼ばれるその少女が
何度も何度も同じ言葉を繰り返しボクに微笑むたびに
ボクの体は何かに
縛られたように捕らわれて力が抜けていく。


そんな日々を繰り返し続けたボクの時間は、
人の時で二週間と言う時が流れていたのだと、
神木の前で力尽きて倒れたボクを助けた一花は告げた。


二週間と言う月日が、鬼の時間ではどれほどに長く
人の世では、どれ程に早いものかをボクは知っている。


人の命は、砂時計の如く早い。



*


「和鬼さま、良く聞いて。

 YUKIの誕生会をしたくて、
 昨日、私達三人で
 デパートに買い物に行ったの。

 これは咲が、貴方の為に買い物をした
 誕生日プレゼント。

 これを買い物した後、
 咲はお手洗いに行くと言って
 私たちの傍から離れたの。

 何時まで経っても帰ってこない
 咲を心配に思って、
 司が探しに行ったんだけど
 そこには咲は居なくて、
 この紙袋だけが残されていたの。

 咲の行方は、今はわからないの」



*


自宅のベッドで意識を取り戻したボクが
一花より告げられたのは、
咲の行方がわからなくなったこと。


ボクが消息不明になった時間だけ、
咲もまた、行方が分からない。




咲が消えた?


ボクと咲は、
契りを交わしている。



契りを交わした存在の状態は、
手に取るようにわかるものなのに。




意識をゆっくりと広げたボクは、
咲の居場所を突き止めて、
瞬時に影を渡り始めた。