私が手に取った白い手は、
珠鬼の手で……珠鬼は操られてたって言うの?




何?

鬼の世界は今、
どうなってるの?



あまりにも突然の話で
まだ整理しきれてない
部分もあるけど
それでも……今の手がかりが
これしかないなら、私も行動を移さなきゃ。





和鬼と逢うために。






珠鬼の手の中から、
勾玉を取り出すと、
すかさず自分の首元に付ける。






……和鬼……
ちゃんと貴方に辿り着くから。





この勾玉と、
貴方が残した桜の花弁が
私に勇気をくれるから。




 



「珠鬼って言ったわよね。

 もう詫びなんてしなくていいから
 そう思うんだったら、貴方自身で返して。

 私、和鬼を探しに行く。

 和鬼を見つけないと、
 帰り道、わかんないから。

 でも私、咲鬼ってさっきから
 何度も呼ばれてるけど咲鬼姫じゃなくて、咲。
 
 この世界の時のは、
 知識としてでしか知らないの。
 だから今後は、咲って呼んで。

 後は……案内……。


 道案内しなさいよ」








最後の方になるにつれて、
声が小さくなりながら。







和鬼と再会するまでは、
知らない地理を一人で動き回るよりは
この地に詳しいものと行動する方がいいから。







「勿論、お供はさせて頂きます。

 咲鬼姫……。

 どうか、助けてください。

 鬼の世界を……。

 このままでは、あの桜鬼に鬼は全て、
 滅ぼされてしまいます」 






次に紡がれた珠鬼の言葉が
私の凍りつかせる。





桜鬼が、
鬼を滅ぼしてしまう?






……それって一体……。





「桜鬼に命令できるのは
 王族のみ。
 
 姫がこの世界を託した
 和鬼も、今は行方知れず。

 この地は荒廃しました。

 どうか、この世界を姫の力で
 助けてください」







今もそう、
懇願続ける珠鬼。