「有難うございます」



戸惑いながらも封筒を受け取ると
咲はお礼と共にお辞儀した。



「有香、有難う。

 明日は咲の学校へ。
 久しぶりに、咲と一緒に歩きたいから」


「わかったわ。
 
 なら七時半に、
 聖フローシアの校門前に迎えに行くわ。

 おやすみなさい」



有香はそう言うと、目の前で車をターンさせて
来た道を帰って行った。





「「ただいま」」



二人揃って、玄関を開けると
すでに咲久は眠っているみたいだった。



咲久の夜は早く朝も早い。




咲久を起こさないように、
二階へと駆け上がると、
ボクの部屋で、ギュっと咲を抱きしめる。




寂しそうな咲を
少しでも早く笑顔にしたいから。




「大丈夫だよ。
 和鬼、心配かけて御免。

 和鬼のYUKIの仕事も大切な時間だって
 ちゃんとわかってるから。

 和鬼が仕事で居ない間も、
 私には……テニスもあるし、司も居るし
 YUKI仲間の一花先輩もいる。

 それに……習い始めたお箏もある」



心配かけないように、
そう言ってボクに告げる咲の言葉。