1.同族に悟られてはならぬ。

1.同族に情けをかけてはならぬ。

1.正体を悟られてはならぬ。

1.人と鬼の境界を守る
 守護神となれ

1.任務遂行を目撃されたものは
 そのものから関わりし記憶の全てを
 消すべし

1.国王がその職務を放棄したと
 判断したその時、王に審判を下せし唯一のものなり

 


無論、咲鬼にも友にも、
この役目の事を悟られぬようにしながら
ボクはこの任務を遂行する日々が始まった。




そして……、
運命のあの日が訪れた。




咲鬼から肉親を全て奪い去ったあの日。




あれは生暖かい空気が周囲をかすめる薄気味悪い夜。




国王と妃、咲鬼の両親が危ない。

鬼神の力である一つ。

この世界の隅々にまで神経を広げ空間を繋げて読心をしている最中、
それを感じ取ったボクは慌てて国王の待つ部屋へと向かう。



犯人は国王とその妃を刀で殺した後で、
その突き刺さった刀を抜いて国王たちの体を
投げ捨てようとしていた。

その瞬間にボクは辿り着いて
国王と妃のお体を肩に受けながら素早く
もう片方の手でその鬼を桜鬼神の名において刈り取る。



ボクの刀から真っ赤な血が
……滴り落ちる……。



ゆっくりと顔を見上げた
ボクの視界に映るのはボクを睨み付ける
最愛の咲鬼の姿。




その場に立ち尽くしたボクたち。