これ以上、
和鬼に恋をしては……いけない……。






心のどこかで
ブレーキがかかる。






だけど、どれだけ閉じ込めようとしても
制御することが出来ない。




「和鬼……。

 私……」




全てを伝え終わる前に和鬼は皆にもわかる、
YUKIへと姿をとげた。


YUKIとなった和鬼は、
全ての人の視界に姿は映る。




『あれっ。
 YUKIじゃない?』




途端に騒がしくなる境内。


女子たちが噂をはじめ、
YUKIの後ろにはファンの子たちの
行列が出来ていく。







……邪魔……。






和鬼と一緒に祭りを楽しみたいと
望んだのは私なのに、
私は和鬼を……独占したい……。



YUKIを追いかけるファンの子たちにも、
醜くも嫉妬してる私自身に気が付く。



そんな自分があの日の依子先輩にも思えて
苦しくなった。







私なんて
 ……大嫌い……



どうしてこんなにも、
和鬼が関ると心が狭くなるの?









「咲ちゃん。

 隣にいるのって、もしかして芸能人のYUKIさん?

 うちの……娘がTVで大はしゃぎにしてたんだよ。

 YUKIさんが 来るって知ってたら
 娘も来ただろうに。

 今年はゲストを呼んでたなら、それも含めて
 宣伝してくれないと」


いやっ。


宣伝も何も、私は和鬼に居て欲しかったんであって……
YUKIとしての和鬼は……今はどっちでも良かったわけで。




「YUKIさん。

 こんな小さな祭りですが良かったら、
 ここの神社の為に奉納してもらえませんか?」