これ以上、
和鬼に恋をしては……いけない……。
心のどこかで
ブレーキがかかる。
だけど、どれだけ閉じ込めようとしても
制御することが出来ない。
「和鬼……。
私……」
全てを伝え終わる前に和鬼は皆にもわかる、
YUKIへと姿をとげた。
YUKIとなった和鬼は、
全ての人の視界に姿は映る。
『あれっ。
YUKIじゃない?』
途端に騒がしくなる境内。
女子たちが噂をはじめ、
YUKIの後ろにはファンの子たちの
行列が出来ていく。
……邪魔……。
和鬼と一緒に祭りを楽しみたいと
望んだのは私なのに、
私は和鬼を……独占したい……。
YUKIを追いかけるファンの子たちにも、
醜くも嫉妬してる私自身に気が付く。
そんな自分があの日の依子先輩にも思えて
苦しくなった。
*
私なんて
……大嫌い……
どうしてこんなにも、
和鬼が関ると心が狭くなるの?
*
「咲ちゃん。
隣にいるのって、もしかして芸能人のYUKIさん?
うちの……娘がTVで大はしゃぎにしてたんだよ。
YUKIさんが 来るって知ってたら
娘も来ただろうに。
今年はゲストを呼んでたなら、それも含めて
宣伝してくれないと」
いやっ。
宣伝も何も、私は和鬼に居て欲しかったんであって……
YUKIとしての和鬼は……今はどっちでも良かったわけで。
「YUKIさん。
こんな小さな祭りですが良かったら、
ここの神社の為に奉納してもらえませんか?」



